乱歩奇譚最終回を観て ~「二十面相事件」と攻殻S.A.Cの「笑い男事件」についてとか~
乱歩奇譚最終回、無事終了しました。
視聴中に、
「物語の根幹でもある20面相事件、攻殻機動隊S.A.Cの笑い男事件で出てきた『スタンドアローンコンプレックス現象』に似てる気が。影響受けてるのか?」
と思ったのでそれについてつらつらと。
・そもそもスタンドアローンコンプレックスとは?
アニメ攻殻機動隊S.A.Cの「笑い男事件」で生じた社会現象の事。Wikipediaでは以下のように説明されている。
「笑い男事件」における一連の社会現象に対して、草薙素子が名付けた造語。作中における電脳技術という新たな情報ネットワークにより、独立した個人が、結果的に集団的総意に基づく行動を見せる社会現象を言う。孤立した個人(スタンドアローン)でありながらも全体として集団的な行動(コンプレックス)をとることからこう呼ばれる。(中略)時にはある事件において実質的な真犯人が存在しない状態が、全体の総意において架空の犯人像を生み出し、その架空の犯人像の模倣者(模倣犯)がその総意を強化・達成するような行動を見せるという独特の社会現象が起こる。 (Wikipediaより)
アンダーライン部分(特に下段部分)の説明を見ると、
乱歩奇譚の20面相事件はスタンドアローンコンプレックス現象そのものじゃないか!
そんなことを思った。
実質的な真犯人は存在せず、二十面相という犯人像が生み出され、最終回では模倣犯が多数出現。これぞまさしくスタンドアローンコンプレックス。
※乱歩奇譚の「二十面相」と異なり、攻殻機動隊S.A.Cでのスタンドアローンコンプレ
ックス(S.A.C)現象は意図して創り出されたものではないが......
・スタンドアローンコンプレックス現象は起きるのだろうか?
攻殻機動隊S.A.Cの制作当時(2002年)にアニメ製作陣が考えていたよりも圧倒的な(むしろ異様な程の)速度で「スタンドアローンコンプレックス」現象が生じやすい世の中になっていると思う。
Twitter(2006年サービス開始),LINE(2011年サービス開始),facebook(2004年サービス開始)などのSNSの爆発的な普及までは、攻殻SAC放映当時(2002年)には予期できなかっただろう。それでも攻殻機動隊放映当時にアレだけのスケールで描いたことはただたた驚くばかりだ。
Twitterで話題になればすぐに情報拡散され、果てはテレビのニュース番組で取り上げられる程の高度情報社会、士郎正宗氏もここまでの情報社会の急速な発展は考えていなかったのでは無いだろうか。
・スタンドアローンコンプレックスの例
調べてみると、現代日本でもスタンドアローンコンプレックスのような現象が生じていたらしい。
1つ目に「伊達直人(タイガーマスク運動)」という概念があった。
孤児院にランドセルを寄付する「伊達直人」という匿名の人物の行動が話題になり、その後、多くの人びとが同様に寄付を行い始めるという出来事だ。
独立した個人が各々でタイガーマスク運動を行うことで、結果的に「伊達直人」という
架空の人物が誕生した。
2つ目は「バカッター」という概念だ。
Twitterで犯罪自慢(時には犯罪時の写真や動画のアップロード)を行い、逮捕される人が
続出した。犯人同士には何も繋がりはないのに全国各地で同様の問題が生じた。
高度情報化社会だからこそ、実際に2つのSAC現象が生じたのだろう。
ただただ、前者のようなスタンドアローンコンプレックス現象がまた生じることを願うばかりだが。