映画「心が叫びたがってるんだ」を見て。
映画化、そして実写ドラマ化までされた感動作「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない(通称:あの花)」の製作スタッフが送る青春群像劇
「心が叫びたがってるんだ(ここさけ)」
を見ました。以下、その感想とか
1.「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない」とは
「あの花」スタッフが送る感動作と謳う今作、そもそも「あの花」とはどんな映画なのかというと
2013年、アニメファンの枠を超え、心揺さぶる感動作として
興行収入10億円を突破する大ヒットを記録した『劇場版 あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』。
テレビアニメオリジナル作品としては歴代2位の記録を打ち立て、
実写ドラマ化も決定するなど、今でも日本中に“あの花現象”を巻き起こしている。(公式HPより)
ストーリーは、ひと言で言うならば
「(6人の少年少女の)青春群像劇」
である。
2.「心が叫びたがってるんだ」のあらすじ
10億円突破の大ヒットを作った制作スタッフの送る今作、そのあらすじは
幼い頃、何気なく発した言葉によって、
家族がバラバラになってしまった少女・成瀬順。
そして突然現れた“玉子の妖精”に、二度と人を傷つけないようお喋りを封印され、言葉を発するとお腹が痛くなるという呪いをかけられる。それ以来トラウマを抱え、心も閉ざし、唯一のコミュニケーション手段は、携帯メールのみとなってしまった。
高校2年生になった順はある日、担任から「地域ふれあい交流会」の実行委員に任命される。一緒に任命されたのは、全く接点のない3人のクラスメイト。本音を言わない、やる気のない少年・坂上拓実、甲子園を期待されながらヒジの故障で挫折した元エース・田崎大樹、恋に悩むチアリーダー部の優等生・仁藤菜月。彼らもそれぞれ心に傷を持っていた。
担任の思惑によって、交流会の出し物はミュージカルに決定するが、クラスの誰も乗り気ではない様子。しかし拓実だけは、「もしかして歌いたかったりする?」と順の気持ちに気づいていたが、順は言い出せずにいた。
そして、だんまり女にミュージカルなんて出来るはずがないと、揉める仲間たち。自分のせいで揉めてしまう姿を見て順は思わず「わたしは歌うよ!」と声に出していた。
そして、発表会当日、心に閉じ込めた“伝えたかった本当の気持ち”を
歌うと決めたはずの順だったが…。(公式HPより)
とまあ長々と書いているが、ひと言でまとめると
「(4人の少年少女の)青春群像劇」
だ。
ここで
「うん?あの花と同じ?」
と思った方もいると思うが、その通り。この制作陣がやりたいのは青春群像劇なのだ。
そしてこの「青春群像劇」というのが、本作そして前作「あの花」の評価が真っ二つに別れる要因なのである。
3. 「ここさけ」を楽しむ為には○○が必要
・主人公には”普通に(当たり前のように)”彼女がいた点
劇中で、主人公が過去に仁藤菜月(ロングヘアの方)と付き合っていた(色々あって関係破綻中)ことがわかる。そう、主人公には彼女がいたのである。一見冴えない雰囲気の主人公は、この時点で「彼女いない歴=年齢」なオタク達と別種の存在であることがわかる。
「冴えない系主人公がなんだかんだで初彼女をゲットするお話」を期待していた観客はこの時点で幻想に「サヨナラ」されるのだ。(主人公はピアノが弾けて、即興で作曲も出来るすごい人物である。冴え渡っている。)
・ストーリー
クラスみんなで演劇を演る事に→最初はクラスメイトが揉めていたがそのうちに”普通に”団結→休み時間や放課後に皆が”普通に”サボらず練習&準備→そして本番という流れ。
すなわち、ストーリーを楽しむためには皆で協力して何かを成し遂げる”普通の”青春を送っていた、または今現在送っている、もしくはそれに憧れている人でなければならない。そうでなければ共感できない。みんな仲良しな青春がひどく現実味のない絵空事のようにしか思えないからだ。
4.ヒロイン成瀬順について
坂上拓実が自分に話しかけてくれたのは、自分に好意を抱いているからと勘違いした結果振られる悲しいキャラ。
冴えない根暗が、急に異性から声を掛けられて、
「あれ?こいつもしかして私に気があるんじゃ?」
とか思い、意を決して告白したら振られるというオタクによくありそうな失恋。悲しいね。見ていて辛い。(ラストで救済される)
5.まとめると
結局、あの花と同じような雰囲気だが、あの花よりもキャラの葛藤が少ないふわふわした映画だった。あっさり系で見やすい映画。万人受けしそうだが薄い。
翌日に見た映画「リリイ・シュシュのすべて」(少年少女の群像劇。とても重厚)に衝撃を受けたので、どうしても比べてしまう(良くないことだと思いつつ)